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忍ミュ小話【ネタバレ注意】(竹くく)


※【ネタバレ注意】元ネタは忍ミュ第三弾
※所々捏造してます
※竹谷視点





『また久々知が一位だってよ』

『こないだの演習、鉢屋が六年生ぶちまかしたらしいぞ』

『あの忍務、い組の級長がやってのけたって。すげーな』

『不破先輩に教えてもらったらいいよ。不破先輩なら何でも知ってるしさ』



うるさい

それ以上言うんじゃねぇよ









「兵助、勘ちゃん、おはよー」
「おはよう」
「はよっ雷蔵。あと三郎と竹谷も」
「おー」
「貼り出し見たよ~。兵助今回のテストも一位だったね。凄いね」
「大したことじゃないよ」
「またそんなこと言って。僕も今回は頑張ったのになー」
「雷蔵だって順位上がったじゃないか。読めなくて合わせるの大変だったぞ」
「竹谷はどうだった?」
「今回は追試免れたか?」
「うっせぇよ、ごちそうさま!」
「はち、もう行くの?」
「おれはお前らみたいに優秀じゃねぇから、これから勉強すんだよッ」
「補習組か。頑張れよ」



ああ、苛々する―





「きりちゃん、明日のバイト私たち一年生だけで大丈夫?危険じゃないの」
「強力な助っ人のアテがあるから大丈夫!」
「ならいいけど…」
「よう、乱太郎きり丸しんべヱ」
「竹谷先輩!」
「助っ人必要なら、明日暇だし、手伝ってやろうか?」
「あ、折角なんですけど、六年生にお願いするのでお気持ちだけで結構ですー」
「…そ、か……」
「前にも中在家先輩達に来ていただいて。あの人達むちゃぶり多いけど、腕だけは人一倍たつからなぁ~」
「五年生はそんなに頼りないか?」
「そ、そういうわけじゃないんですけどー…」









「今日の演習は、六年生を相手に実戦を行う。前回行ったときの反省を活かし、健闘するように!」


「先輩、宜しくお願いします」
「おぅ、竹谷宜しくな」
「おい、分かってんだろうな」
「分かってるって。こっちはさっさと終わらせて鉢屋んとこ行くよ」
「先輩?」
「あ、聞こえちまった?前回の演習で鉢屋には六年の面目丸つぶれにされたから、ちょっくら灸すえてやろうと思ってさ。だからわりぃーけど、竹谷とのんびり遊んでる暇ねぇんだわ」
「そう簡単にいきますかね」
「足止めする気か?いいぜ、やれるならやってみろよ」

やってやる。
おれだって“あいつら”と同じ五年生なんだから。
たかが一年程度の差なんて―…

「はい、終了。口ほどにもねーな」
「ッ…参りました」
「竹谷は一直線だから立ち筋読みやすいんだよ。力任せに突っ込んでいったら相手の思う壷だろ。まだまだ五年生は詰めが甘いな」
「……」
「さてと、おれも鉢屋のとこ加勢にいかねーとな」



「今日の実習疲れたねー」
「あいつら六年生のくせに四人がかりで襲ってくるとかセコいんだよ!こないだのこと逆恨みしやがって…ッ」
「でもまた打ち負かしたんでしょ?」
「おかげで左腕いかれたけどな」
「三郎、保健室寄っていこう。竹谷も行く?肩のとこ切れてるでしょ」
「おれは…いい」
「でもそのままじゃ…」
「先、部屋戻るな」



五年生だからといって、下から頼りにされないのも。
上から甘くみられるのも。
その五年生のなかに“あいつら”が含まれていないのも。
全部、苛々する。

どうして、おれだけ―…











「はち、入っていい?」
「兵助?こんな夜遅くになんだよ」
「雷蔵から、今日の実習ではちが怪我したって聞いて…保健室も行かなかったみたいだし心配で来てみた」
「ただのかすり傷だよ」
「かすり傷でも膿んだりすりから見てもらった方がいい。一応薬も持ってきたから、保健室が嫌ならおれが…」
「平気だっつってんだろ!!」
「……」
「わ…り、でもほんとに大丈夫だから」
「ならいいけど…。あまり無茶するなよ。はちはすぐ突っ走っていくところがあるし心配だよ」
「…それっておれに実力がないから心配してんのか」
「え?」
「なんだよ心配心配って。おれのこと信用してないわけ?そんなにヤワじゃねーよ」
「おれは、そんなつもりじゃ…」
「兵助はいいよな。教科も実技もなんでもできて。常に人のこと見下せるもんな。おれみたいな出来の悪いやつの気持ちなんて分からねぇだろ」



「はちっ、いやだッ…外せよ…!」
暴れる兵助を抑えつけて、実習用の縄で手足を縛り上げる。
兵助を力でねじ伏せることなんて、こんなにも容易いのに。
どうして普段はとても遠いのだろう。
「いや…だ…ッ、こんなのやだよはち…ッ」
「うるさい、黙れよ」
「んぐッ――!」
身近にあった手拭いを兵助の口の中に詰め込む。
普段は優しい恋人の突然の変貌に、兵助は大きな双眸を戸惑いで揺らす。
すっかり頭に血が上っている竹谷は、何を言っても無駄なようであった。
「んっっ、ひッ…」
きちんと着込まれた兵助の寝間着を崩すと、石鹸のほのかな香りが広がる。
「なんだよ心配しに来たとか言っておきながら、抱かれる気満々じゃねぇか」
「ふぃがっ、ん…ッ」
兵助の髪留めを乱暴に引っ張って外すと、パサリと漆黒の長い髪が畳に弧を描く。
ふわりといっそう湯上がりの良い匂いが竹谷を刺激して、狂気的な感情を昂ぶらせた。

「ひぐぅッッッ!!」

熱く反り勃った自身を、馴らしもせずに兵助のなかへ捻りこむ。
狭い兵助の菊蕾は、思うように進めなかったが、それでも竹谷は強引に貫こうとした。
「んん―ッ!!んっ、んぅッッ…!」
痛絶な質量に、身を捩らせて逃れようとする兵助を引き寄せて、荒々しく腰を打ち付ける。
竹谷の暴走を前に、為す術もない兵助の白い肢体がビクビクと布団の上で波を打った。
「ひッ、んんっ…んッ、んんッ…!」
「はっ、呆気ないよな」
生理的に滲んできた涙が、兵助の瞳から溢れ落ちる。
痛みに細い身体を弛緩させている兵助は、弱々しい捕食者のようで、竹谷の焦燥をいくらか和らげた。
「なぁ兵助、いまどんな気分だよ。手も足も出なくてさ」
「んんッ!んっ、ふぁち…ッ」
グリグリと兵助をいたぶるように、竹谷が性器で兵助のなかを鋭く掻き乱す。
結合部から赤い滴りが線を引いたが、竹谷がそれに気づくはずもなく、竹谷は兵助の前髪を掴みあげた。
「兵助すげぇいい顔してる。辛い?苦しい?挫折を味わったことのない兵助には、たまにはこういうのもいいだろ」
兵助の口に入れていた手拭いを外し、変わりに引き抜いた性器をその形の良い口に押しつける。
「も…やめ…て…、はち…ッ…」
兵助のなかに入っていた性器はテラテラと分泌液で濡れていて、兵助は思わず目を反らした。
「舐めて綺麗にしろよ。兵助の垂れ流したやつだろ」
竹谷の気迫に押され、兵助は恐る恐る舌を這わす。
自分の腸液など舐めたくなかったが、今の竹谷に逆らえはしなかった。
小さな舌でチロチロと舐めあげると、すでに存分な大きさをもった竹谷の性器がズンと質量を増す。
血管浮きだつその凶器に、兵助は恐ろしくなって舌先を震わせた。
「まどろっこしいな」
「んぐぅッ!!!」
ちっとも進まない兵助の口淫に、痺れをきらした竹谷が兵助の頭を股間に抑えつける。
喉の奥まで竹谷の太い性器が貫いて、兵助は胃液を噎せ返そうになった。
口のなか目一杯につめられた竹谷の欲望は苦しくて、兵助は舌さえも動かすことができなかったが、竹谷は兵助の頭を揺さ振って、思うままにその暖かい口啌を堪能した。
「んッ…んぐッ!!んん…ッ…んッッ!」
ギリギリまで兵助の頭を離し、再び深く咥えこませる。
上の口で擬似的な挿入を行っているようで、その度に兵助が苦しそうな声を上げたが、竹谷の手は止まらなかった。
「っ…でる…ッ」
「んんッッ…!!」
兵助の口のなかで熱い飛沫が弾けとぶ。
急に放たれた大量の粘着液に、兵助はごほごほと器官につまらせた精を吐き出した。
「ごほッ、はぁっ…ぁっ、ぐっ…ごほごほ…ッ」
掴み上げていた兵助の前髪を離すと、支えを失った兵助が布団へ倒れ込む。
飲みきれなかった精液と吐き出している精液で、兵助の口周りや胸は汚らしく濡れそぼっていた。
「はぁッ…はっ…ぁッ、あっ…」
「今度は兵助も気持ち良くさせてやるよ」
「ひ…ッ、も…やだっ…、は…ちッ…」


その晩は明け方まで兵助を手荒く抱いた。
兵助を組み敷いて蹂躙することで、兵助よりも優位に立てたような気になれたから―。

そんなことをしても何も変わらないのに。


(最低だ…)








*


翌朝、竹谷が目を覚ますと兵助の姿はすでになかった。
残っていたのは、兵助を拘束していた縄と、布団にこびりついた情事の跡。それと青臭い匂い。
せめて殴るくらいしていってくれれば少しでも気が晴れたというのに。
何ともいえない後味の悪さが竹谷のなかで燻っていた。


「はぁ…」
どんな顔をして兵助に会えばいいか。
気が重くて仕方がない。
なるべく今日は避けて通ろう、そう思った矢先、張本人とばったり廊下で出くわしてしまった。
「おはよう、はち」
「あ…はよ、兵助…」
「朝食まだだよな」
「おぅ」
「おれも。食堂行こう」
「ああ…」
「そういえば今日の朝食なんだと思う?たぶん練り物系だよ。昨日学園長が食堂のおばちゃんに頼んでるの見たんだ」
「へぇ…、土井先生もご愁傷様だな」

(なんでそんなに平然としていられるんだよ)

びっくりするほど普段通りの対応の兵助に、竹谷は戸惑った。
昨晩は何もなかったような兵助の振る舞い。
手酷く抱いて、今だって身体は辛いはずなのに、兵助のいつもと変わらない様子は、反対に竹谷を困惑させた。
「そ、そういえば三郎と雷蔵遅いな。あいつら寝坊してんのかな」
「三郎達なら、隣りの国へ忍務に行くって言ってなかったっけ」
「そうだった…、勘右衛門は?!」
「学園長のおつかいで朝早く出ていったよ」
「そう…」
今日に限って兵助と二人きりなんて、ついていない。
箸を動かす手が遅くなる。
唯一の救いといえば、騒がしいこの学園は、常に事件には事足りているということ。
今も食堂で暴れ始めた六年生に、兵助との微妙な空気は掻き消された。
普段はやっかいでしかないこの日常茶飯事も、今となっては有難い。
なにか起こればいいなんて。
不謹慎なことを考えてしまった、数時間後のことだった。






「一年生が捕まった?!」

土井先生から告げられた事態に唖然とする。
バイトに向かった乱きりしん喜三太が、山賊達に捕まったという。

(おれがあんなこと思ったから…)

命に関わる事件なんて望んでいなかったのに、予想を遥かに越えた事態に竹谷は拳を震わせた。
教員だけで助けに行く、五年生は余計な手出しをするな、と学園長からはきつく咎められた。
しかしそれは竹谷の闘争心を掻きたてるものでしかなかく、兵助の制止の声も耳に入らなかった。

「待てよ、はち!学園長から行くなって言われただろ?!」
「そんなの関係ねぇよ。後輩達が捕まってんだぞ?!事態は一刻を争うんだよ」
「でも…ッ、なにか先生達にも考えがあって俺たちに釘を刺したんだと思う。闇雲に動くよりは、まず作戦を考えて…」
「はっ、優等生らしい意見だな。おれはそんなまわりくどいことはしねぇ。今すぐ敵地に乗り込んで、あいつら助けだして…、それで五年生もできるんだってこと見せつけてやるッ」
「八左ヱ門ッ!!待てって!!」

やってやる。
だって、おれは“あいつら”と同じ五年生で――












ここ…どこだよ…


おれ、乱太郎達を助けに行って…

……

……

あれ、誰かが泣いてる


…一年生のときの兵助だ


技量の差がまだ出てなかった昔は、同級生達によく負かされてたもんなぁ


力の弱かった兵助を庇おうと、おれも躍起になって


……


いつも、兵助はおれの後ろにいたのに…








「―ぱい、竹谷先輩ッ!」
「あ…お前ら…」
「大丈夫ですか?!僕達のこと助けに来てくれたんですね」
「ああ…でもわりぃ、おれも捕まっちまったみたいだな」
「きっと六年生が来てくれますよ!」
「六年生ならあんなやつら一捻りです!」
「そうだよな…はは…」
情けない。
救い出しに行った矢先に、敵方に捕まって。
挙げ句のはてに、下級生に励まされるなんて。
「お前、あんな簡単な罠にハマるなんて忍者の才能ねぇんじゃねーの」
見張り役のドクタケ忍者が、暇を持て余しているのか茶化してくる。
「あの一帯は仕掛けた罠は少なかったのになぁ。まさか引っ掛かってるやつがいたときにはびっくりしたよ」
「…ッ…」
悔しい。
馬鹿にされて掴み掛かりたかったがそれもならずに、掌に爪をギュッと食い込ませる。

こんなはずじゃなかった。
今まで必死にやってきた五年間はなんだったのだろう。
皆スタートラインは同じだった。
むしろ力だけなら自分が秀でていたはずだ。
それなのに。
皆いつの間にか遠い存在になっている。
六年生だけじゃない。
兵助、三郎、雷蔵、勘右衛門だって、先を歩いていて、自分だけ取り残されたみたいだ。

(結局おれは何も成長してない―…)





「乱太郎!きり丸、しんべヱ!喜三太!」

程なくして、六年生と兵助が助けやってきた。
心強い味方の登場に、一年生達が安堵の眼差しを向ける。
そんな後輩の何気ない仕草も、竹谷の胸をまた締めつけた。

「はちッ、大丈夫か?!」
「一人で立てるからいい」
「うん…」
頑丈だった牢屋の扉は、超人ともいえる七松小平太の一蹴りで呆気なく吹き飛んだ。
真っ先に駆け寄ってきた兵助に、その手を取ることができず、素っ気なく返す。
「兵助が先輩達を?」
「うん。おれ達だけじゃ太刀打ちできないかもしれないから、六年生に加勢してもらおうと思って」
「そんなんだから五年生はなめられんだよ」
「はち…」

「竹谷、久々知!ぐだぐだしてないで、さっさと脱出するぞ!!」

結局は六年生によって、華麗に救出劇が行われた。
頼りにされるのはいつも六年生。
そしてそのことに固執しているのは自分だけ。
兵助達が妬まない理由なんて分かってた。
六年同等の実力をもっていると言われているから。
同じ五年でも、自分と兵助達とじゃ雲泥の差だ。



「おれとなにが違うっていうんだよ…ッ!」

襲いくるドクタケ忍者に鬱憤をぶつけるように、竹谷は微塵を奮う。
鎖の素早い動きにドクタケ忍者は追いついていないようだった。
(いける…!)
銅鎖で相手の動きを封じ、錘で急所をつく。
自分だってできる、そう竹谷が過信したときだった。

「このガキ…っ」
「ッ…しまっ…」
一瞬の気の緩みが、敵に隙を与えてしまった。
ぐらりと体勢が崩されて、敵の刃が振り翳される。

「竹谷危ない!!!」

切られる、そう覚悟して目を瞑ったが、その感触はなかった。
間一髪のところで突き刺さろうとした刃は、小平太によって押し留められていた。
「な、七松先輩…」
「竹谷は下がってろ。お前達は私が相手してやる」


「はちッ!大丈夫か!?」
「あぁ…」
次々と敵を薙ぎ倒していく小平太の絶対的な強さに目を奪われる。
その華麗な手腕に、不思議と焦燥は感じなかった。

「六年生の戦い方をよく見ておきなさい。いずれお前たちもあんな風に成長するじゃろう」
「学園長先生…五年と六年の差はそんなに大きいですか?」
「…お前達は優秀じゃ。だが、それは六年生が五年生のときと同じくらいの実力じゃ。たかが一年、されど一年。焦ることはない。来年にはお前達も今の六年生のような立派な忍になっているじゃろうよ」









学園へ戻ってきた頃には、すっかり日も暮れていた。
竹谷は長屋へ戻ろうとした小平太を呼び止めて駆け寄った。

「七松先輩!」
「ん、なんだ竹谷」
「助けていただいてありがとうございました!それから…ッすみませんでした!!おれ、一人で意気がって皆に迷惑かけて…実力もわきまえずにすみませんッ」
ガバッと腰を深く折って頭にを下げる。
小平太は、なんだそんなことか、と言わんばかりに、竹谷の肩に手を置いた。
「なぁ竹谷。私達だって五年生のときは、できないことだらけだった。適わない相手に悔しい思いもした。でも、それを糧に鍛練を積み重ねて強くなれたんだ。
一年の差が埋まらないのは当然だ。その分多く努力をしているのだから。
竹谷が充分頑張っているのを私は知っているよ。あとはそれを持続させればいい」
「七松先輩…」
「大丈夫、竹谷は今よりもっと強くなれるよ」



普段は何も考えていないように感じさえする小平太だったのに、六年生の背中がとても大きく見えた。
張り合おうとしていた自分が愚かしい。
きっと兵助達も“六年生”という存在を認めているからこそ、それを目指し越えようと邁進できるのだろう。

(兵助……兵助に謝らねぇと…)








五年い組の長屋には兵助はいなかった。
同室の勘右衛門に「裏山にいるんじゃないかな」と言われ、なぜまたこんな時間にと思ったが、昔からそうだったことを思い出した。

(あいつ人一倍努力家だもんな)

演習で負けたとき、兵助はいつも一人裏山に残り、鍛練を続けていた。
勘右衛門達が夕食だから帰ろうと言っても聞かず、身体尽き果てるまで研いていた。
知っているだけでも相当な量だったから、きっと見えないところではもっと過酷に扱いていたに違いない。

(そうやって同じ相手には二度と負けなかったんだよな)

「兵助いるんだろー!?おれも鍛練付き合うぞー!!」











「つっっっかれたー!!」
「ふぅ…」
「兵助いつもこんなにやってんのかよ。もう身体動かねぇ死ぬ…」
「珍しいね。はちが夜中に鍛練なんて」
「今日は空回ってばっかだったしなー。情けないところもたくさん見せちまったし」
「でも妙に晴れ晴れとしてる」
「まぁな。色々吹っ切れた」
「そう」

良かった、というように兵助が目を細める。

(兵、助は―…)

全部分かってくれてたんだ。
自分が焦燥を抱えていたことも。
その葛藤を兵助にぶつけてしまったことも。
そしてそれは自分で解決するしか打開策がないことも。
全部、分かってくれていたから、何も言わずに付き添ってくれた。


「…兵助、ありがとな」
「なんだよ急に」
「いいから言わせろよ。あと昨日はその…、酷くしてごめん。もう二度と兵助に当たらない、おれ強くなるからッ、だから―…」
「うん…」




「これからもおれの傍にいてくれよな」






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