※現パロ
学期末テスト結果が貼り出されると狭い廊下は生徒達でごった返す。
しかし今回、いつもと違う事態にいつになくざわめいていた。
成績上位者は入学以来、ほとんどが同じ生徒達である。
なかでもトップ3に関しては、順位が変動したことはない。
それが今回覆されたのだ。
しかも全教科満点という偉業により。
その噂は瞬く間に広がり、それを成し遂げた者を見ようと我先に掲示板へ駆け付けた。
混み合っているところが好きでない兵助は、しばらく時間を置いてから教室を出た。
廊下を歩いていると、後ろから話し声が聞こえてくる。
「おい聞いたか?!久々知は二位だってよ!」
「じゃあ誰だよ満点取って一位のやつ?!」
「それがろ組の奴らしいぜ」
「ろ組!?」
「久々知もついに首席落ちか。御愁傷様だな」
「挫折を知らないあいつにはいい薬になったんじゃねーの」
「おい、ちょっと」
「あ…」
振り返った兵助に気がついた男子生徒達は、バツが悪そうに教室へと駆け込む。
兵助はズキンと痛む胸を押さえ込み、掲示板へ向かった。
一位 二年ろ組 鉢屋三郎 500点
二位 二年い組 久々知兵助 496点
三位 二年い組 ○○×× 482点
実際に結果を目の当たりにして、兵助はぐらりと頭の中が揺れるのを感じた。覚悟はしていたのにドクドクと胸が高鳴る。
別に一位を取ることに固執しているわけではない。あくまでも頑張った結果なのだから。
しかしなまじいつも良い結果ばかり残していると、周囲はより高い期待を科してくる。一位を取って当たり前、なぜもっと良い点が取れないのかと。
先程のように少し成績が落ちただけでも、周りからは今までの羨望の裏にあった憎悪が顕になり罵られる。
きっとこの後は教師や親からきつく咎められるに違いない。特進科のい組が、普通科のろ組に負かされたとなれば尚更だ。
それらは重荷となって兵助に強くのしかかってきていた。
兵助は動悸が早まり身体が熱くなってくるのを感じた。
「…ッ…」
急いでその場を去った兵助は、近くの空き教室に駆け込む。
「はぁっ…はぁ…っ」
いつからだったか、ストレスがたまると異様に性欲を掻き立てられるようになった。
始めは自分の身体の変化に戸惑ったものの、今となっては抗いもせず素直に処理を重ねていた。
兵助が下肢に手を滑らすと、既に前は熱くなっている。
焦る手つきで自身をズボンから取りだした。
「ああっ、ゃ…んんッ、ぁあっ…」
少し触っただけでポタポタと先端から蜜を垂らす。
兵助は身を屈めて手を太腿に挟むと、両手で性器を握り込んだ。
掌全体を使って大胆な動きで擦り上げる。
「はぁっ、っ…ああッ、あっ…だめ…ッ」
ここが学校であるとかは気にする余裕はなかった。
兵助は口を塞ぐことも忘れて、ただ一心に自慰に没頭する。
くちゅくちゅと弄っている中心から立つ卑猥な音がいっそう兵助を熱くさせた。
「ふぁっ、あんっ、んッ…んぅっ…あっあ…」
こうしている間だけは何も考えずに済む。
兵助は一種の麻薬にも似たような感覚を感じていた。
「随分と余裕ねーな」
突然ピシャリと扉が開く。
兵助はびっくりして叫びそうになった声を何とか飲み込んだ。咄嗟にシャツを引っ張って勃起した前を隠す。
入ってきた人物は「そんなことしてもバレバレだよ」と嘲笑いながら兵助に近づいた。
「っ…三郎ッ…」
「そんなに悔しかった?」
「別に…ッ」
見下すように言ってくる三郎をキッと兵助は睨みつける。
三郎にとっては自分の葛藤などただの余興のようなものでしかないのだろう。
三郎がもともと頭が良いのは分かっていた。
しかし当の本人は成績などには全く興味がないようで、いつも追試ラインぎりぎりのところで保っていた。
文面上の数字だけを気にして真面目に勉強する自分やい組をいつも馬鹿にしていた三郎が、あっさりと上をいく。
これは自分へのあてつけだ。
「すごいな」
「ひゃぅッ!!やだっ、ああっ…ッ!!」
「やだ?こんなに濡らしといて何言ってんだよ」
「ひっ、離っして…ッ、やぁっ、あっ…あッ」
三郎はきつく反り勃った兵助の性器をためらいもなく握り込む。
溢れかえる先走りの白い精が三郎の手を汚した。
三郎は垂れてきたぬめりを兵助の性器に擦りつけながら、緩やかに手を動かし始める。
「お前いつもこんなことやってたの?」
「あぅっ、やぁっちが…う…ッ、ああッ!」
「嘘つき」
悔しそうに顔を歪めながら嬌声を零す兵助に、三郎は悦楽感たっぷりな笑みを浮かべる。
実はこないだ偶然見てしまったのだ。
職員室から出てきた兵助が慌ただしくトイレに駆け込むところを。
尋常じゃない様子に後をつけてみれば、押し殺している声のなかでも、確かに艶を含んだ声が聞こえてきた。
布擦れの音と微かに聞こえる喘ぎ声に何をしているか一発で分かった。
兵助の思わぬ性癖に三郎は口元を緩めざるを得なかった。
「やああっ…さぶ…ろ…ッ、っあ…んっん…ッ、やっああっ…」
普段は感情をほとんど表に出さない久々知兵助の、苦衷さと恍惚さが入り混じった表情―。
この顔が見れるのなら、いくらでも満点だってなんだってやってやる。
三郎は未だ強情さを持ったままの兵助の頬を優しく撫でた。
これからどう切り崩してやろうか。
考えただけでぞくりと快感が駆け巡る。
「兵助最高だよ」
了
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