上級生×、→くく
入学して同じクラスの子を見たときぱっと世界が変わった気がした。
白い肌によく似合う艶のある黒い髪、ぱちりと大きな目、その双眸を縁取る長い睫毛、
一瞬にして引き込まれた。
一目惚れなんて絵空事だと思っていたけれど、突然それは訪れた。
運よく同じ部屋になって親友と呼べるほど仲良くなって。
別に想いを伝えることはないけれど、今の関係で満足していた。
でもそんな時間は長くは続かなかった。
「あっ…はぁっ、竹…谷ッ…」
「…っ…へい…すけ…」
その日の夜は委員会で部屋には戻らない予定だったけど、
急に資料が必要になって自室へ取りにいった。
障子に手をかけたときに聞こえてきた甘い嬌声。
開けるまでもなく、何をしているかは明白だった。
色々な物が崩れた気がして、しばらく呆然と襖の前に立ち尽くしていた。
頭の中が真っ白になっているのに聴覚だけはやけにクリアで、
二人の熱い息遣いとか結合部から漏れる粘着質な音だとか、流れ込んできた。
不思議と涙はでなかった。
気づいたら先輩を誘っていた。
以前からなんとなく兵助に似ているなと思ってた人。
実際は睫毛の長さくらいだけど、接吻をされたときどこか嬉しいような暖かさが流れてきた。
「なぁ尾浜…っ、あいつとも寝たんだってな」
「っんん、…そう、です…っ…けど…ッ」
呆れた口調で下から突き上げてくる先輩が嘲笑う。
一瞬でも味わってしまった充満感に抗えずに、一夜限りの関係を続けていた。
「お前本当に見境ないな」
そんなことない。
髪だとか仕草とかそれとなく兵助に似てる男しか誘ってない。
でも変装名人の同級生だけは手をつけられないよ。
一度兵助そっくりの顔とやったら
本物を壊してでも欲しくなっちゃうからね―。
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